第10回個展開催に寄せて


  昨年からの体調不良と体重減少の理由が分った。 食道に出来た癌が原因だった。 
 かなり進行していて、手術で取り除くことは既に不可能な状態になっているそうだ。
      余命を尋ねれば、半年くらいだろうとの医師の告知。 それを妻と二人の子供と静かに聞いた。

『 Solo Exhibithion \ 』 銀座個展作品の一部

 すぐに放射線と抗癌剤による治療を開始する。 食べ物が喉を通らないので、お腹に穴を開けて流動食を胃に直接流し込む。 生存の為の、数パーセントの確率の賭けが始まる。
     背筋に擦り寄る死の気配を感じる。 そして、いつまで描けるのか不安が心を覆った。

『 Free at Last 』 作品展の一部

 衆生一切の、たどり着く先は死。 そんな当たり前のことに、神の摂理を感じる。
到底刃向うことさえ出来ないが、そこに至る人の生き様には人智が及ぶはずだ。
     画を描こう、その時まで。 私の心と身体が癌に耐え切れるまで、一心に描くのだ。
     画家として生きる悦びと、画家として死ぬ満足感。 今の私に、その境界線は見えない。
      
 『 Free at Last 』 作品展の一部