個展開催の裏話


 2002年8月1日、ギャラリーを開設した時からの夢を実行に移す時が来た。 これから25年ぶりに制作活動を再開するのだ。
 まず手始めに、私は会う人達には必ず 「 来年は個展を開催するから 」 と、宣言することにした。
 今年の年賀状にもそう書いた、弱い自分を追い込む為だ。  そこまでしなければ、すぐに制作活動を投げ出してしまいそうな情けない予感がしたのだ。
 20年以上のブランクは私の身の回りから一切の画材を消し去っていた。 恥ずかしい話だが高校生の倅にカルトンを借りてデッサンから再開してみた。
 いきなり当惑した。 んっ?・・・視力は1.2あるのだが、遠視が進んでいて肝心の手元が見えない。
 「 なんだ眼鏡をかければ済むことじゃないか 」 が、またしても当惑する、こんどは眼鏡をかけたままでは離れた所にあるモチーフが見えないのだ。
 こうして眼鏡をかけたり外したりしながらの制作活動が、なんとか再開された。

RETURN TO PARADISE 作品展の一部


「 描けない !」 と、苛立って木炭紙を破っては何度も流川の飲み屋に走った。
50才過ぎのおじさんを誰も励ましてはくれない、その走った回数だけ描く事を止めたくなった。
 しかし私の周りには、油絵以外にも制作活動を真摯に続ける人々の姿が沢山あった。
 創造する行為を通じて、ギャラリーを利用する人々全てが私に無言のエールを送ってくれるのだ。
 「 負けてたまるか、おじさんパワーを見せてやるぜ 」 と、私はカラ元気をフル回転させた。
 朝は早起きしている。 目覚まし時計はかけないが4時頃にはベッドを離れ絵筆を握っている。
 『 歳をとると早寝早起きね 』 と、家内が言うが広島カープが弱いせいもあって早寝にもなるのだ。
 これまでの記録では真夜中の0時30分に起床。 これを早起きと言えるのか疑問だが、目覚めれば即、アトリエに向う習慣だけは守るようにしている。

RETURN TO PARADISE 作品展の一部


 そんなことより作品の内容が問題なのですが、現在もこれからも心の奥底にある感覚に素直に従い描き続けようと考えています。
 人間ですから毎日生活をしていれば喜怒哀楽の感情が生じます。 それらに影響されない本質的な自分の心を表現出来たらとも感じております。
 具体的には、毎朝寝ぼけ眼でアトリエにたどり着いてやっと脳が目覚めた瞬間の感覚。 パソコンに例えれば再起動してOSが立ち上がった瞬間の感覚を私は大切にしています。
 これからも、もっともっと沢山の作品を描き続けていけばきっと何かを発見出来ると確信しています。
 ” RETURN TO PARADISE ” とは、たゆみない制作活動こそが導く桃源郷なのですから。